外壁塗装で中塗りと上塗りに分ける理由は?【業者依頼のコツも解説】
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
「中塗りと上塗りは同じ塗料なのに、なんでわざわざ2回に分けて塗らなくちゃいけないの?」と疑問をお持ちのあなたへ。それにはちゃんとした理由があるんです!この記事では、その理由を解説するとともに、業者依頼のコツについてもお伝えします。必読です!
もくじ
そもそも、外壁塗装の下塗り・中塗り・上塗りって何?
まず、そもそも下塗り・中塗り・上塗りとは何か、という点に触れたいと思います。
理由は後述しますが、外壁塗装では、塗料を最低でも3回に分けて塗る必要があります。
その1回目の塗装が下塗り、2回目の塗装が中塗り、3回目の塗装が上塗りです。
下塗り・中塗り・上塗りは、それぞれ大切な役割を担っていますので、どの工程も欠かすことはできません。業者によっては、「塗装は全部で2回でいいですよ」と言うところもありますが、信じてはいけません。必ず、3回は必要な工程です。
では、下塗り・中塗り・上塗りの役割について、一つずつ見ていきましょう。
下塗りは壁面に上塗り塗料を密着させる
外壁塗装で下塗りが果たす大きな役割の一つは、壁面に上塗り塗料を密着させることです。
下塗りには強力な密着力があります。
密着性のあるシールのような働きをすることから、シーラーと呼ばれる下塗り材があるほどで、下塗りの密着機能は重要な役割を果たします。
下塗りをせずに上塗りを塗っても、上塗り塗料が壁面に付きづらく、すぐにはがれ落ちてしまうのです。下塗りは壁面に上塗り塗料を密着させ、長持ちさせます。
また、下塗りが果たす役割のもう一つは、外壁を強化することです。「下地強化剤」と呼ばれる下塗りもあるように、下塗りをすることで、壁を強くし、劣化を遅らせます。
さらに、下塗りは、上塗り塗料の浪費を防ぎます。
傷んだ外壁は、塗料をグングン吸い込んでしまう特徴を持っています。下塗りをせずに上塗りをすると、外壁が上塗り塗料を中へ中へと吸い込んでしまうので、大量の上塗り塗料を消費してしまうんです。
上塗り塗料は高価ですので、この浪費はかなりの経済的打撃となります。
下塗りをすると、上塗り塗料の吸い込みを防いでくれますから、結果的に節約になるのです。
このように、下塗りは縁の下の力持ち的な大事な役割を担っていますので、欠かしてはいけません。
次に、中塗りについて見ていきましょう。
中塗りは色ムラや気泡を防ぐ
中塗りは、1回目の色塗りとも言えます。最終的な外壁の色の塗料と全く同じ塗料で塗っていく作業のことです。
どれだけ腕の良い職人さんが塗ったとしても、色塗りは、1回ではムラができてしまいます。1回の塗装できれいに決めることはできないのです。そこで、必要になってくるのが中塗りというわけです。
中塗りは、色ムラや気泡を防ぐ役割を持っています。外壁塗装を美しく仕上げるのに欠かせない工程の一つなのです。
また、中塗りと上塗りとセットで行うと、外壁を保護する働きがあります。下地を守ることも、中塗りの役割の大事な部分です。
上塗りは外壁を美しく仕上げる
上塗りとは、最終的に外から見える、外壁の色の塗料を塗ることです。外壁塗装の仕上げの工程となります。家の外観の決め手ですから、ムラが出ないよう、非常に丁寧に塗らなければなりません。
外壁塗装の中で、上塗りは1番目立つ部分です。しかし、上塗りが美しく仕上がるかどうかは、下塗りと中塗りがどれだけしっかり塗られているかにもよります。前述しましたように、中塗りを抜かして上塗りが1回だけですと、きれいに仕上げることは不可能だからです。
外壁がとても傷んでいる場合などは、上塗りをしてもきれいに仕上がらないこともあります。そんな時は、上塗りをもう1回塗ります。合計4回の塗装となります。
外壁塗装の中塗り・上塗りに使用する塗料の4種類を紹介
さて、この項目では、中塗り・上塗り塗料の種類について述べていきます。大きく4種類の塗料があります。
①ウレタン系塗料
ウレタン系塗料の耐用年数は、5~8年と言われています。近年はウレタン系塗料の使用は減少傾向にありますが、木造の家など、まだ使われている塗料です。
シリコン塗料よりも価格が安いというメリットがありますが、耐用年数が短いため、コストパフォーマンス的にはあまり良いとは言えません。
ひび割れしにくく、密着性が高いのも特徴です。
また、ツヤがありますので、高級なイメージを演出できます。
さらに、ウレタン系塗料は種類が多いのも良いところです。
②シリコン系塗料
シリコン系塗料の耐用年数は、10~13年です。フッ素系塗料には劣りますが、総合的に考えるとコストパフォーマンスが秀逸な塗料です。
また、シリコン系塗料は汚れやカビが付きにくく、一度付いた汚れを落としやすい、といったメリットも持っています。
さらに、シリコン系塗料はツヤがあるので、ツヤのある外壁にしたい人には向いています。
いっぽう、欠点としては、種類によってはひび割れが起きやすく、密着性が劣ることが挙げられます。
③ラジカル系塗料
ラジカルとは、劣化因子のことです。紫外線・水・酸素などに顔料が触れることで起きる、劣化の原因のことです。ラジカル系塗料とは、そうした劣化因子を防ぐ働きを持つ塗料を指します。
ラジカル系塗料の耐用年数は14~16年です。価格はそれほど高くないのに高性能なので、期待の塗料です。4種類の中塗り・上塗り塗料の中で、最高のコストパフォーマンスとなっています。
2010年代に登場しましたから、まだ新しい種類の塗料であると言って差し支えないでしょう。チョーキングが起きづらく、低汚染性で、作業性が高いといった特徴もあります。
④フッ素系塗料
フッ素系塗料の耐用年数は15~20年で、高価ではありますが高品質の塗料です。実績も多く、東京スカイツリーにも使用されています。
塗料を1回で分厚く塗ることはNGです
さて、中塗りと上塗りを分けたほうが良い理由として、色ムラを防ぐため、と前述しておきました。
「でも、ムラを防ぐためなら厚塗りしちゃえばいいんじゃないの?」
と思う方も少なからずいることでしょう。その方が実用的で効率がいいように感じますよね。
ところが、塗料には、1回で塗ることのできる量の限界値があるんです。
メーカーのホームページや、塗料の説明書きなどに、「1㎡につき○○グラムまで塗布可能」と記載されています。
つまり、塗料の性質として、厚塗りを1回すればいいようにはできていないのです。言い換えれば、厚い塗膜を作るには、重ね塗りしなければならないように作られているというわけです。
ですから、ムラや気泡やフクレがなく、かつ耐久性に優れた、美しくも強い外壁塗装に仕上げるには、中塗りと上塗りとに分ける必要がある、というのが結論です。
悪質業者に手抜きされていないかを見抜く方法とは?
ここで、どんな業者を選んだらよいのか、業者依頼のコツについてお伝えしていきましょう。
この記事で何度も強調しましたように、外壁塗装では最低3回の塗装工程が必須です。「厚塗りしますから、下塗りと上塗りだけで済ませて、その分安くしておきますよ」なんていう業者には頼まないようにしましょう。
そこまであからさまな業者は分かりやすいですが、何も言わないで3回の工程を踏まずに済ませてしまおうとする業者もいます。悪質業者かどうかは、どうやって見抜けばよいのでしょうか?
そのヒントとなるポイントを2つ、以下に説明していきますね。
外壁塗装の見積書はこうやって確かめる!
悪質業者に引っ掛からないための一つ目のポイントは、見積書をよく見ることです。
優良業者は、見積書に下塗り・中塗り・上塗りの工程を明記してくれています。記載の仕方は業者によって違っても、何回の工程を踏むのかは分かりやすく書いてあるはずです。
もし、見積書に何回の工程なのかがはっきり書いてなかった場合は、業者にきちんと説明してもらいましょう。その答えがあやふやだったり、ごまかそうとしたり、気まずそうにしていたりといったものであるなら、何工程のつもりなのかを追求しましょう。それでもはっきりしないのなら、その業者に頼むのはやめたほうが良いでしょう。
工程数に限らず、見積書に不明な点がある時は、納得がいくまで説明してもらうことをおすすめします。
外壁塗装の日程はこうやって確かめる!
「3回に分けて塗りますよ」と言っておきながら2回しか塗らない悪質業者もいます。それを見抜くのに役立つのが、外壁塗装の日程の確認です。
下塗り・中塗り・上塗りはそれぞれ1日に1工程しか進められません。ということは、外壁塗装は最低でも3日はかかるはずです。天候によってはもっとかかるでしょう。
よって、2日で終わらせてしまう業者はいずれかの工程を省略しています。
理想的なのは、工事期間中は家にいるようにし、職人さんにその日の工程を尋ねることです。
見積書の確認にせよ、工事日数の確認にせよ、業者の言いなりになってはいけません。きちんと、不明点を確かめつつ進めていきましょう。
なお、関西にお住まいの方でしたら、外壁塗装の適正価格を知るために、ペイントセレクトを利用してみてください。数ある業者の中からあなたにピッタリの業者が見つかりますし、悪徳業者との契約リスクも避けることができます!
賛否両論?中塗りと上塗りで色を変える方法について
しかし、工事期間中ずっと家にいられる人ばかりではないでしょう。また、家にいられたとしても、ずっと現場を見張っているわけにはいきませんよね。
そこで、手抜き工事を防ぐための案として、中塗りの塗料と上塗りの塗料とで色を変える、という対策法があります。
しかし、この方法は賛否両論なのです。
この記事ではどちらかの肩を持つことはせずに、それぞれの主張を記します。最終的にどうするかはあなた次第ですので、どうぞニュートラルな視線でお読みください。
中塗りと上塗りの色を変えるー賛成意見
業者の手抜きを防ぐために中塗りと上塗りの色を変えることの賛成意見として、多くの業者は快く受け入れてくれる、というものがあります。逆に、中塗りと上塗りの色を変えることに難色を示す業者であれば信用できない、という見方です。
また、中塗りの色と上塗りの色が違っていても、中塗りをしっかりと乾かしてから上塗りをするので、色の発色に問題はない、とも言っています。
では、次に反対意見について見てみましょう。
中塗りと上塗りの色を変えるー反対意見
中塗りと上塗りの色を変えることへの反対意見としてまず挙げられるのは、耐久性が落ちる、というものです。同じ色の重ね塗りのほうが塗膜が強くなるので、違う色を塗るのはおすすめできないとのことです。
また、年数がたつと徐々に上塗りがはがれてきて、全く色の違う中塗りが顔をのぞかせ、美観を損なう、という意見もあります。
さらに、一軒家で2色を使うと、半端な分の塗料が残ってしまい、その分の費用も家主持ちなので非経済的だという業者もいました。
以上のように、中塗りと上塗りの色を変えることには賛否両論ありますので、頼もうと思っている業者にきちんと説明を受けた上で決定なさってください。
外壁塗装では中塗りも上塗りも両方とも必須です
この記事では、中塗りと上塗りとを分けたほうが良い理由について説明してきました。
1番の理由は、塗料には、1㎡あたりに塗ることが可能な量の限界値があるという点でしたね。塗料の性質上、1度の厚塗りではなく、2回以上の重ね塗りで耐久性が出るようになっているからでした。
また、中塗り・上塗りには、ウレタン系、シリコン系、ラジカル系、フッ素系の4種類があることにも触れました。
さらに、悪質業者に引っ掛からないために、見積書と工事日程をよく確認することが大事です。
関西にお住まいの方でしたら、外壁塗装の適正価格を知るために、ぜひペイントセレクトを活用してみてください。より安く、より安全に契約を結ぶことができます。
あなたの家の外壁塗装工事で、何のトラブルもありませんように。