シーラーは縁の下の力持ち!プライマーやフィラーとの関係とは?
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
シーラーは縁の下の力持ち!プライマーやフィラーとの関係とは?
「シーラー・プライマー・フィラー」というのは、外壁塗装の下塗り塗料の名前です。一口に下塗りと言っても、シーラー・プライマー・フィラーなんて、ふだん聞きなれている用語ではないので、イメージがわかないかもしれませんね。
一般的に、外壁塗装の工程は、下塗り・中塗り・上塗りのステップを踏みます。「塗装で大事なのは色選びでしょ?下塗りなんて本当に必要なの?」と思われる方もいることでしょう。
しかし実は、下塗りは決して欠かせない工程なのです。
この記事では
- 下塗りが必要な理由
- シーラーの役割
- シーラーの種類
- フィラーと微弾性フィラーの役割
- フィラーとシーラーの違い
について説明します!
下塗りの大切さが分かれば、そのための費用を惜しむことはないでしょう。この記事を参考に、納得の外壁塗装にしてください!
もくじ
シーラーってそもそも何?!下塗り塗料はなぜ必要?
シーラーとは、前述しましたように外壁塗装の下塗り塗料のことです。下地に直接塗る、最初の塗料がシーラーです。
下塗りはなぜ必要なのでしょうか。
おもに2つの理由があります。
- 上塗りの塗料をはがれにくくする働きがある
- 外壁の下地が上塗り塗料を吸い込んでしまうのを防ぐ
外壁塗装の上塗りを長持ちさせたかったら、下塗りはきちんとすることが肝心、というわけですね。大切な点なので、もう少し詳しく見ていきましょう。
下塗り塗料が要るわけ①外壁に上塗り塗料を密着させる
シーラーは、下地と、中塗り・上塗り塗料との間で、接着剤のような働きをしてくれます。そして、上塗り塗料を密着させます。つまり、シーラーを塗らないと、せっかくの上塗り塗料がはがれやすくなってしまうのです。
外壁塗装をする目的は、外壁を美しく見せることだけではありません。外壁の寿命を延ばすことも、大切な目的の一つです。外壁の下地がボロボロになると、家自体の劣化も激しくなります。外壁塗装の上塗りがはがれやすくなるということは、家の寿命が縮んでしまう、ということに直結するのです。
つまり、家の寿命の長さに大きく影響するという理由から、外壁の塗膜をはがれにくくする下塗りは、決して手抜きをしてはいけないのです。
下塗り塗料が要るわけ②外壁への激しい染み込みを防ぐ
傷んだ外壁の下地は、塗料を吸い込む特徴を持っています。塗料が激しく吸い込まれてしまうと、塗料がその分余計に必要になり、非経済的なので避けたいところです。シーラーは、この吸い込みを防いでくれます。
ふつう、新築の家の外壁塗装は家を買う時点ではすでに行われていますし、中古の戸建てを購入する際にも外壁塗装は済んでいるはずです。つまり、外壁塗装をあなたが検討するのは、家を購入したばかりのときではなく、何年かたって家の劣化が原因であることが多いでしょう。
繰り返しますが、劣化している壁というのは、塗料をたくさん吸い込んでしまいます。
劣化した壁が、上塗り塗料をたくさん吸い込んでしまうのを防ぐために、下塗りがいるのです。上塗り塗料よりもコストがかからない下塗り塗料「シーラー」なら、劣化した下地が吸い込んでしまっても、上塗り塗料が吸い込まれるよりは節約に繋がります。
下塗りをしっかりするひと手間が、コストパフォーマンスを良くするのですね。
なるほど!シーラー・プライマーの違いとは!
下塗り塗料で、シーラーと並んでよく使われるのが、プライマーというものです。薄く塗るのがシーラー、厚く塗るのがプライマー、あるいは水性がシーラー、油性がプライマーとわける人もいますが、正しい決まりはありません。
シーラーとプライマーとは、同じものと考えて問題はないでしょう。
シーラーというネーミングは、英語のシール(seal)から来ています。「密着する、密封する、覆う」といった意味合いですね。上塗り塗料と外壁の下地とを密着させる働きや、外壁の劣化を覆う、という役割をよく表したネーミングです。
プライマーは、英語のプライマリー(primary)を語源としています。「最初の」という意味で、外壁塗装の際に最初に塗ることから来ています。
シーラーと呼ぶにせよ、プライマーと呼ぶにせよ、その特徴は下地を補強して上塗りを密着させ、上塗り塗料の染み込みを防ぐことにあります。
こんな違いが!シーラーの種類について
シーラーには、大きく分けて3つの種類があります。水性タイプ、油性タイプ、その他の3つです。外壁の劣化の進み具合や、前回に塗った塗料の種類によって、シーラーの種類を使い分けます。
最もよく使われているのは、水性タイプの合成樹脂エマルション型シーラーです。
しかし、水性タイプのシーラーは、どんどん壁に吸い込まれてしまう特徴があります。そこで、傷んだ壁には熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーという、油性のシーラーを使うこともあります。
水性のシーラーと油性のシーラー、その他のシーラーそれぞれの特徴について説明しましょう。
こんな違いが!シーラーの種類について①水性タイプ
先ほども少し触れましたが、水性タイプのシーラーは、劣化の激しい壁に塗ると壁がシーラーをどんどん吸収してしまいます。結果、コストパフォーマンスが悪くなるため、あまり劣化していない外壁に向いているといえるでしょう。
水性タイプのシーラーの良いところは、においがきつくない、という点です。また、屋外でも室内でも、火事の心配がなく安全に使えるところも長所となっています。
一方、季節や下地の状態にもよりますが、乾燥にかかる時間が3~4時間と長めであることは、水性タイプのシーラーの短所です。
こんな違いが!シーラーの種類について②油性タイプ
油性シーラーは溶剤シーラーとも呼ばれます。劣化が激しい外壁によく使われます。
油性シーラーのメリットは、下地を補強し、上塗り塗料との密着性を高め、かつ外壁の耐久性も高めるところです。
また、下地の吸い込みムラを抑えたり、下地のアルカリ分を抑えてシミや汚れを防いだりというのも、油性シーラーのメリット。
さらに、気候や下地の状態にもよりますが、乾燥にかかる時間が30~60分と短いのも長所となっています。
油性シーラーのデメリットとしては、においがきつい、という点が挙げられるでしょう。
こんな違いが!シーラーの種類について③その他のタイプ
他にも、シーラーにはいろいろなタイプがあります。
たとえば、ヤニ止めシーラー。
タバコのヤニ、雨のシミなどを防いでくれるシーラーです。室内塗装に使われることが多いのですが、外壁にも使えます。水性のものが多いため、安全で、においもきつくありません。
次に、カチオンシーラー。
下塗りに使える範囲が広く、密着力に優れています。耐アルカリ性ですので、特にコンクリートの外壁の防食効果があります。(コンクリートはアルカリ化すると劣化します。)非危険物ですので安全です。
そして、コンクリート強化シーラー。
劣化してもろくなったコンクリートを補強する下塗り塗料です。上塗り塗料の染み込みを防ぎ、上塗り塗料との密着性を高めます。
以上のように、シーラーにはたくさんの種類がありますので、あなたの家に合ったものを選んでくださいね。
特徴 |
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水性シーラー |
劣化していない壁向き。においがきつくない。安全。乾くのに時間がかかる。 |
油性シーラー |
劣化の激しい壁向き。耐久性がある。乾くのが早い。においがきつい。 |
ヤニ止めシーラー |
タバコのヤニを防ぐ。室内によく使われる。においがきつくない。安全。 |
カチオンシーラー |
幅広く使える。コンクリートの防食効果がある。 |
コンクリート強化シーラー |
劣化したコンクリートを補強する。 |
なるほど!フィラーの役割と特徴を解説!
シーラー(プライマー)の他にも、フィラーと呼ばれる下塗り塗料が存在します。シーラーとフィラーの使い分けなどは、後ほど説明しますので、まずはここではフィラーの特徴を見ていきましょう。
フィラーは英語のfillerから来ている言葉で、「詰めもの、埋めるもの」を意味します。その名の通り、凸凹しているモルタルの外壁や、ひび割れたところを平らにする下塗り塗料として使います。また、外壁に模様や柄を出したいときにも使われます。普通、サイディングにはフィラーは使いません。
フィラーは厚く塗る必要があるため、ウールローラーの2~3倍の量を塗布できる、砂骨ローラーというローラーを用います。また、フィラーには水性タイプしかありません。
シーラーとフィラーとの違いをはっきり説明します!
どのようにシーラーとフィラーを使い分けるのでしょうか?
シーラーとフィラーとの違いは、簡単にいうと「下塗り材」と「下地調整材」との違いです。
シーラーは下塗り材です。下塗り材とは、外壁塗装で1番最初に塗る塗料のことです。お化粧で言えば、ファンデーションを塗る前の、化粧下地のようなものです。上塗り塗料と下地とをくっつける働きをし、下地への吸い込みのムラをなくし、下地を補強する役目を持っています。これが下塗り材であるシーラーの役目です。
シーラーは、サビ止めとしての役目も持ち、金属部分に塗られることもあります。
また、外壁の耐久性を高める機能も持っています。そして、おもにモルタルやコンクリートに適しています。
一方、フィラーは下地調整材です。下地調整材とは、お化粧で言えば、ファンデーションのようなものです。仕上がりをきれいにするためのベース処理で、ときにはゆがみを矯正します。外壁の凸凹をなくし、平らにし、外壁を美しく見せます。これがフィラーの役目です。
フィラーはとくに、モルタルの外壁のクラックを埋めるための下地調整材として多く使われます。
働き |
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シーラー |
下地と上塗り塗料との接着剤。 下地に上塗り塗料が吸い込まれるのを防ぐ。 下地補強。 サビ止め。 |
フィラー |
仕上がりをきれいにする。 凸凹を平らにする。 外壁を美しく見せる。 |
フィラーについてもっと解説!微弾性フィラーとは?
外壁の劣化が激しい場合、シーラーを染み込ませてからフィラーを塗ることもありますが、それほど劣化していない外壁には、もっと便利な手があるのです。
シーラーの機能とフィラーの機能とをあわせ持った優れもの!それが微弾性フィラーです。
微弾性フィラーは、シーラーのように下地への吸い込みムラを防いだり、塗装のムラを防いだり、下地と上塗り塗料の密着性を高めたりしてくれます。その上、フィラーとしての機能も果たします。
微弾性フィラーはおもにモルタルの外壁に使われます。モルタルの一番の難点はクラック(ひび割れ)が起きやすいということです。微弾性フィラーは、そのクラックを埋めるのに活躍するのです。
微弾性というように、ゴムのように伸びる性質を持った微弾性フィラーは、ひび割れを埋めたり、ひび割れが大きくなるのを防いだりしてくれます。
とはいえ、大きなクラックは微弾性フィラーでは処理しきれず、シーリングの充填などが必要です。
ココが微弾性フィラーの長所・メリットです!
微弾性フィラーは、上塗り塗料の種類を選びません。どんな上塗り塗料を塗る前にも使えます。これが最初のメリットです。
上塗り塗料には、水性塗料、弱溶剤型塗料、溶剤型塗料といった種類があり、それぞれに相性の合う下塗り材というものがあります。大手の日本ペイントのカタログには、この上塗り塗料にはこの下塗りを使ってください、という注記があります。
しかし、微弾性フィラーはさまざまな上塗り塗料に合うのです。
また、微弾性フィラーは、前回にどんな塗料を塗ったとしてもその上から塗ることができます。つまり、塗る前の状態も、塗った後の塗料も選ばないという意味で、オールマイティーな塗料といえるのです。
また、砂骨ローラーを使えば、簡単に厚く塗ることができます。微弾性フィラーを厚塗りする必要がある時に便利です。
さらに、塗っている間や乾燥させている間のにおいが少ないのも、長所のひとつですね。
ココが微弾性フィラーの短所・デメリットです!
微弾性フィラーの残念なところは、塗装前にかかる手間です。壁面に汚れや砂ぼこりなどが付いている場合は、ていねいに取りのぞいてから塗る必要があります。
加えて、油性のシーラーに比べて乾くのに時間がかかるというデメリットもあります。3~4時間はみておいたほうが良いでしょう。さらに、改修したすぐ後、あるいは新設したすぐ後のモルタルには使えない、というデメリットもあります。
しかし、メリットの方が大きいのが微弾性フィラーですから、ぜひ微弾性フィラーを活用してみてください。
まとめ:シーラー・プライマー・フィラーは機能的に大活躍します!
これまで見てきたように、シーラー(プライマー)・フィラーは、外壁塗装において貴重な機能を持っています。苦労して手に入れたマイホームを長持ちさせるのに、大活躍してくれているのです。
下地に上塗り塗料を密着させるため、また上塗り塗料が下地に染み込んでしまうのを防ぐために、下塗りは欠かせません。
大切な働きをする下塗り材のシーラーには、水性、油性、その他の種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。劣化の激しい壁向きのものや、においのきつくないものなど、種類によって長所、短所がありましたね。
また、下塗り塗料にはフィラーというものもあります。フィラーはおもに、凸凹をなくすために使われる塗料でしたね。それから、シーラーとフィラーの機能を併せ持つ微弾性フィラーについても触れました。
外壁塗装においては、下塗りをしっかりとすれば、機能的であるだけでなく、仕上がりもとても美しくなります。ですから、費用がもったいないなどと思わずに、下塗りをきちんとすることをおすすめします。
外壁にとってにとって下塗りは非常に大切なものであるため、下塗りは優良業者に依頼するようにしましょう!ペイントセレクトでは、コンシェルジュがあなたの希望に沿った優良業者のみを紹介します!