隣家が近い場合、外壁塗装は可能なの?
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
都市部で外壁塗装をする際に、よくあるお悩みがお隣との距離で悩むケースです。限られた土地にできる限りの大きい家を建てられる業者さんは多いので、都市部にお住まいの方は、人がギリギリ通れるくらいの幅に3階建てのお家がズラーと建っている光景をよく目にしないでしょうか。
境界ギリギリに建てた場合、周りが空き地の時はいいのですが、狭小地の場合、外壁塗装をするための足場を仮設する充分なスペースが確保できません。
狭くて足場を仮設するスペースがない場合、外壁塗装はできるのでしょうか。
結論から言いますと、不可能ではありません。『狭小地用の足場を使う』、『お隣に越境させてもらう』など解決策は様々あるので、ご紹介していきます。
もくじ
外壁からどれくらい土地の余裕があれば足場が立てられるのか?
一般的な足場の仮設に必要な距離は約70cm程度です。戸建て住宅の外装工事などの際に仮設される足場の幅は約60cmです。実際に足を乗せる踏板の幅が40cm、それを固定する支柱がそれぞれ10cmですから、理論的には合計60cmあれば仮設可能ということになります。
ただ、お家の構造上の問題(テラス、カーポート、敷地)がありますので、一概に距離感が60cmあれば大丈夫とは言えません。
例えば、外壁から塀などへの距離がぴったり60cmですと、組み立ての際に足場の支柱を立てるスペースが確保できませんので、塀の上に足場を立てるなど対策が必要になってくるので、実際には70cm以上が無理なく足場を仮設できる距離となります。
狭小地での足場はどうすればいいのか?
踏板の幅は何も40cmのものだけでなく、それ以下の25cmのものと15cmのものが存在しますので、それらを使えば70cmの距離がなくても足場の仮設が可能です。
これらの足場の中には狭小地用に特化したセンタータイプと呼ばれるものもあり、支柱がそれぞれ25cmや15 cmの中心を通るようにできています。30cm前後の距離があれば、仮設が可能なのです。
また、昔ながらの足場の組み立てで単管足場という方法もあります。
こちらは通常、足場の支柱に支柱と同じパイプを水平に設置したもので、こちらも30cm未満の距離があれば仮設が可能です。
30cm未満の場合どうすればいいの?
30cm未満の場合、解決策としてお隣の方の土地を使用させていただくのが現実的です。ご近所の方と普通にお付き合いしている限り、「今度、外壁塗装をするのだけど、足場の一部が空中で越境して、ご迷惑をかけてしまうかもしれません」と申し出れば、ほとんどの方は『お互い様ですし、どうぞご自由にお使いください』と快く引き受けてくれるでしょう。「足場を仮設するためにお庭の一部を貸してほしい」と頼んでも同様に「いいですよ」と言ってくれる方がほとんどです。
当然のことながら、お隣の方の敷地を借りるため、外壁塗装中はご迷惑をおかけすることになり、生活する上で不自由な思いもさせてしまうでしょう。ガーデニングなどを趣味としている方の場合、敷地に足場を置かれることに抵抗がある方も多いようです。「庭に足場が置かれるのは困るけど、空中で越境してくるのは構わない」という方もいらっしゃいます。足場があると花や木のお手入れに不便なことも出てくるでしょう。
基本的に塗装業者さんが近隣さんへの挨拶回りを兼ねて、敷地を借りたい旨を伝えにいくことがほとんどです、隣家さんのご事情も様々なので、解決策や折衷案を提案できる塗装業者さんにお任せして大丈夫でしょう。
ただ、業者さんだけが挨拶に訪れ、施主様からご挨拶なかった場合、「礼儀がなってない」と言われる方もおられます。施主様からの事前に簡単なご挨拶や、業者さんと一緒にご挨拶にいくと余計なトラブルが減るのでオススメです。
住宅密集地で気をつけるべきポイント
狭小地に足場を仮設する場合、気をつけなければならないポイントは、足場を組み立てる時と解体する時。イレギュラーですが工事中に強風が吹くような悪天候の時です。
まず、足場を組み立てる時と解体する時ですが、足場の支柱はそれなりの長さがあるので、慎重に扱わないと先端などが外壁などに当たり、傷つけてしまうことになります。
施主様のお家で塗装前であるならば、しっかりと謝罪・ご説明をしたのちに、補修して塗装をすれば元通りにすることができます。これが、施工後の足場の解体時だった場合が大変です。高い位置を傷つけた場合、再度、足場を仮設し、塗り直さなければなりませんから工期は延びるし、お隣の方の敷地を借りている期間も延びます。
お隣の方の建物だった場合は最悪です。不自由な生活を強いられている上に建物に傷まで付けられたらとんでもないことです。
工事中に強風は吹くような、悪天候の時はどうするの?
強風が吹き足場の転倒の恐れがある時、敷地内で足場がしっかり組める場合は、台風養生という、単純に養生シートを足場の支柱に畳み込むことで、風の当たる面積を減らせば、よほどの強風でもない限り転倒の恐れは少ないです。
しかし、狭小スペースに足場を組んで工事する場合、狭小部分に合わせて足場を組むので、正常な形の足場に比べると少し歪な足場の形と言えます。
隣家が密集しているので風の影響は少なくなりますが、立地や環境によっては逆に足場が煽られやすい状態になるので、業者さんにしっかりと確認するのが良いでしょう。
まとめ
足場を仮設するスペースが狭くても、『狭小地用の足場を使う』、『お隣に越境させてもらう』などで外壁塗装をすることは可能です。
しかし、『少し無理な足場の形になる』、『お隣の建物に足場が隣接する』などデメリットやトラブルの種も増えます。
それでも、お家のメンテナンスをしなければ、雨漏りなどを引き起こし。
暮らしに甚大な被害を与えてしまうので、いつかは塗装工事などはしていかないといけませんね。
足場の問題はもちろん、何回も塗装工事をすると隣家に迷惑なので、長持ちする塗料はないのか?など外装工事に関わる全般にお答えすることのできる、ペイントセレクトへお悩みの方は一度ご相談ください。