外壁塗装検討中の方必見!塗料の特徴・単価・選び方を種類別に解説!
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
「外壁の汚れが目立ってきた」「となり近所で外壁塗装が増えてきた」などの理由で、自宅の外壁塗装を考え始めていませんか?
とは言え、いざ外壁塗装をおこなうとなるとさまざまな疑問や不安が出てきますよね。
「どんな塗料を選べば良いの?」
「どのくらい費用がかかるの?」
「そもそも塗料の種類が分からない…」
しかしご安心ください!この記事では外壁塗装の悩みを解決するために、塗料の特徴や選び方、工事費用を詳しく解説します。
外壁塗装に対するあなたの不安や悩みを解消するために、ぜひ参考にしてください!
もくじ
外壁塗装で使用する代表的な塗料の種類は4つ
外壁塗装で使用する代表的な塗料には、以下の4つの種類があるとよく言われます。
- アクリル塗料
- ウレタン塗料
- シリコン塗料
- フッ素塗料
この4つの塗料の名前は、あなたも聞いたことがあるかもしれません。しかし実は、この分類方法は塗料の中では合成樹脂と呼ばれる部分のみに注目した分類方法であり、塗料の厳密な分類方法ではありません。
厳密に言えば、塗料は2つの要素(メイン要素、サブ要素)で構成されており、メイン要素で3つ、サブ要素で1つの合計4つの成分によって分類されます。
そして、この4つの成分の組み合わせによって塗料の性質は異なるのです。全体ではかなり多くの種類の塗料があることになります。
塗料の成分 |
成分の役割 |
|
メイン 要素 |
合成樹脂 |
品質レベルやグレード・耐久性を決める塗料の主成分 (アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素) |
添加剤 |
塗膜(塗料乾燥後に表面に形成される膜)に機能を追加する (1液型/2液型、艶あり/艶なし、硬質/弾性) |
|
顔料 |
塗膜に色をつける
|
|
サブ 要素 |
溶剤類 |
塗料を溶かして液体化させる、溶剤は2種類ある
|
ただし、メイン要素の成分(合成樹脂)の含有量や種類によって塗料のグレードは決まります。もちろん、価格を大きく左右するのもこのメイン要素の合成樹脂となります。
そのため、合成樹脂のみに着目したアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料という4種類という形で広く浸透しているのです。
そして、外壁塗装で使用する代表的な塗料のグレードは、アクリル塗料→ウレタン塗料→シリコン塗料→フッ素塗料の順に高くなります。
塗料は「型」によって使用方法が違う
塗料は添加剤によって「1液型」「2液型」に分類され、それぞれ使用方法が違います。
種類 |
使用方法 |
特徴 |
1液型 |
1つの液のみで使用 (硬化剤が含まれた塗料) |
・費用は安いが耐久性が低い ・作業しやすいが塗装できない箇所もある |
2液型 |
硬化剤と主剤を 混ぜて使用 |
・費用は高いが耐久性が高い ・作業に手間はかかるが塗装できる箇所が多い |
実際に塗装作業をするのは業者ですが、塗料の「型」によっても単価や耐久性が変わってきます。塗料の種類とあわせて覚えておきましょう。
そのほかの成分の差はあまり重要ではないため、ここでの説明は割愛します。
種類によって違うの?外壁塗装で使用する塗料の特徴
塗料はグレードが高ければ必ずしも良いというわけではありません。住んでいる地域や環境、あと何年住む予定なのか、希望予算などで適切な塗料の種類は変わります。
それぞれの塗料の特徴やメリット・デメリットをしっかり把握しましょう。
アクリル塗料の特徴とメリット・デメリット
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料です。製造・開発当時は発色の良さから人気を集めましたが、ウレタン塗料やシリコン塗料など高性能塗料が開発されたため、現在ではほとんど使用されていません。
メリット |
・工事費用が安い ・カラーバリエーションが豊富 ・1液型で扱いやすい、DIYに向いている |
デメリット |
・紫外線に弱く劣化しやすい ・ひび割れが起きやすい ・耐用年数が5~7年と短い |
ウレタン塗料の特徴とメリット・デメリット
ウレタン塗料は、樹脂の中でも柔軟性に優れているウレタン系樹脂を主成分とした塗料です。万が一塗料内部でひび割れを起こしても密着度が高いため、塗膜表面までひび割れが広がりにくいことが特徴です。
メリット |
・工事費用が比較的安い ・美しい艶で高級感あふれる仕上がり ・塗装箇所に合わせて1液型・2液型を使い分けられる ・柔軟性が高く扱いやすい、ひび割れしにくい |
デメリット |
・紫外線や水に弱く艶の保持率が低い ・汚れがつきやすい ・希釈にシンナーを使うため工事中の臭いが強い ・耐用年数が6~8年と短い |
シリコン塗料の特徴とメリット・デメリット
シリコン塗料は、シリコン系合成樹脂を主成分とした塗料です。戸建て住宅の約7割がシリコン塗料で塗り替えをしているほど人気の高い塗料です。
水性1液型、油性1液型、油性2液型の3種類があり、用途に合わせて使い分けることができるのが特徴です。
メリット |
・汚れがつきにくい ・耐熱性・耐水性に優れている ・艶の種類やカラーバリエーションが豊富 ・用途によって種類を使い分けられる ・耐用年数は10~15年と長い ・耐用年数に対して工事費用が手頃 |
デメリット |
・ひび割れしやすい ・アクリル塗料・ウレタン塗料よりは工事費用が高い ・種類によって耐久性や費用が異なる ・重ね塗りに向かないため特性を理解している業者に 依頼する必要がある |
フッ素塗料の特徴とメリット・デメリット
フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分とした塗料です。外壁塗装で主に使用される4つの塗料の中で性能に優れており、もっともグレードが高いことが特徴です。
種類によって耐久性が異なり、一般的な3F系フッ素→一般的な4F系フッ素→特殊な3F系フッ素の順で高くなります。
メリット |
・紫外線や太陽光から建物を守る耐熱性に優れている ・雨水で汚れを落としてくれる親水性に優れている ・カビや藻の発生を抑える防カビ性・防藻性に優れている ・雨水の侵入を防ぐ防水性に優れている ・耐用年数は15年~20年と長い |
デメリット |
・工事費用が高い ・機能性は高いが建物の寿命を延ばす効果はない ・艶あり塗料しかない ・特性を理解している業者に依頼する必要がある |
外壁塗装にはいくらかかる?塗料の単価を種類別に紹介
外壁塗装は工事費用が高い…というイメージをもつ人はとても多いです。なぜ高額な費用がかかるのかは誰しもが気になる点ですよね。
以下では、工事費用の内訳と割合を説明します。一般的な塗装業者の基準として覚えておきましょう。
・材料費(20%)
塗料・養生シート・飛散防止シートなど塗装をおこなうために必要な材料にかかる費用
・足場費用(20%)
高所作業を安定しておこなうために必要不可欠な足場を組むためにかかる費用
・人件費(30%)
職人・現場監督・施工管理など工事に携わる人にかかる費用
・諸経費・その他(30%)
交通費・印紙代・事務手数料などにかかる費用、業者の利益
種類別塗料単価と建坪別費用相場
外壁塗装の費用相場を把握することで見積内容が適正価格かどうか判断できるだけではなく、悪徳業者から身を守ることにもつながります。
以下では、種類別塗料単価と建坪別費用相場を紹介します。外壁塗装の予算の目安として参考にしてくださいね。
種類別塗料単価
塗料の種類 |
平米単価 |
耐用年数 |
アクリル塗料 |
1,000~1,200円 |
5~7年 |
ウレタン塗料 |
1,800~2,000円 |
6~8年 |
シリコン塗料 |
2,500~3,500円 |
10~15年 |
フッ素塗料 |
3,500~4,500円 |
15年~20年 |
建坪別費用相場
アクリル塗料 |
ウレタン塗料 |
シリコン塗料 |
フッ素塗料 |
|
30坪 |
12~24万円 |
20~24万円 |
30~42万円 |
42~53万円 |
40坪 |
16~32万円 |
29~32万円 |
40~55万円 |
55~71万円 |
50坪 |
20~40万円 |
36~40万円 |
50~70万円 |
70~90万円 |
塗料単価・建坪別費用相場のポイント
- 外壁塗装の工事費用は「平米単価」で計算する
- 上記費用以外に足場代・人件費・諸経費が別途必要
- 足場代の費用相場は20万円前後(1平米あたり700~1,000円)
外壁塗装に機能も求めたい!機能性塗料とは?
外壁塗装の目的は「見た目をきれいにすること」だけと思っている人は多いかと思いますが、本来の目的は「建物を守る」ことです。外壁塗装には雨水が建物内に侵入するのを防ぎ、雨漏りを起こしたり柱を腐食させないようにする役割があります。
これまでに紹介した外壁塗装に使用される代表的な塗料の効果は、耐久年数の違いはあっても効果の種類はどれもほぼ同じでしたね。しかし現代では「機能性塗料」の開発が進み、その他の機能をプラスすることも可能です。
熱を遮る機能をもつ「遮熱塗料」
遮熱塗料とは、太陽光を反射して塗装面の温度上昇を抑える効果があります。室内の温度が上がりにくいため、気温が高い夏場でも過ごしやすい住居環境になります。省エネや節電効果が期待できる機能性塗料です。
その一方、気温が低い冬場は室内の温度を低下させてしまいます。雪国など寒い地域には向かない塗料と言えます。
費用相場 |
5,000~5,500円/平米 |
耐用年数 |
15~20年 |
メリット |
・夏場の光熱費を節約できる ・自治体によっては補助金制度を受けれる |
デメリット |
・寒い地域には不向き |
自然環境から家を守る機能をもつ「無機塗料」
無機塗料とは、鉱物などの自然物を主成分とした塗料です。一般的な有機塗料と比べて燃えにくいため、自宅の家事だけではなく近隣家事の二次災害の度合を低くすることが期待できます。
さらにカビやコケの発生を防ぐ効果に優れており、美しさを保つだけではなく、建物の劣化を抑えることが可能です。
費用相場 |
5,000~5,500円/平米 |
耐用年数 |
20~25年 |
メリット |
・現在発売されている塗料の中で耐用年数がもっとも長い ・塗装工事の回数を減らせれる |
デメリット |
・機能が優れているため工事費用が高い |
汚れがつきにくい機能をもつ「光触媒塗料」
光触媒塗料とは、二酸化チタンが含まれている塗料です。太陽光や水を利用して、外壁についた汚れをセルフクリーニングしてくれる特徴があります。機能性塗料の中でもっとも汚れがつきにくく、美しさを長期間保ち建物の劣化を抑えることが可能です。
費用相場 |
5,000~5,500円/平米 |
耐用年数 |
10~15年 |
メリット |
・機能性塗料の中でもっとも汚れがつきにくい ・排気ガスが多い場所に住んでいる人におすすめ |
デメリット |
・屋根用塗料がないため塗装時期のバランスを考える必要がある |
塗装面の劣化を抑える「ラジカル塗料」
ラジカル塗料とは、2015年頃から発売された比較的新しい塗料で、近年人気を集めている塗料です。シリコン塗料などの一般的な塗料に「高耐候酸化チタン」と「高安定剤」という特殊な成分を配合したもので、劣化の原因となる「ラジカル」の発生を抑える効果があります。
紫外線の影響による塗膜の劣化を防ぐことでひび割れしにくいです。さらに汚れがつきにくいため、建物の劣化を抑えることが可能です。
費用相場 |
3,500~4,000円/平米 |
耐用年数 |
8~15年 |
メリット |
・機能と費用のバランスが良い ・作業性が高くどんな外壁材にも使用できる塗料 |
デメリット |
・比較的新しい塗料のため施工実績がある業者が少ない |
どうやって選べば良い?塗料選びのポイント
塗料にはたくさんの種類があります。そのため「条件や希望に合うのはどの塗料?」「何を基準にして選べば良いの?」と悩む人は多いでしょう。
塗料選びの基準は「費用」「耐久性」「機能性」の3つ
後悔しない外壁塗装をおこなうためには「外壁塗装にいちばん求めているもの」は何かを考えることです。
外壁塗装に求めるもの |
塗料の種類 |
費用と耐久性 |
アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素塗料 |
機能性 |
機能性塗料 |
外壁塗装にいちばん求めていることを明確にすると、大まかに塗料の種類を選ぶことができます。さらに細かく選ぶための3つのポイントを見ていきましょう。
選び方のポイント1.費用と耐久性から選ぶ
塗料はグレードによって費用が大きく異なります。例えば40坪の建物を外壁塗装する場合、アクリル塗料とフッ素塗料ではおよそ30万円の費用差があります。しかし耐用年数にも差があるため、費用と耐用年数のバランスを考えることが重要です。
以下の表は、40坪の建物を外壁塗装した場合の費用と耐久性を比較したものです。
希望・条件 |
塗料の種類 |
塗料費用 |
選び方のポイント |
とにかく費用を抑えたい |
アクリル塗料 ウレタン塗料 |
16~32万円 |
・費用重視 ・住居予定年数が10年以下 ・外壁の雰囲気を定期的に変えたい |
費用と耐久性のバランスを重視 |
シリコン塗料 |
44~55万円 |
・コストパフォーマンス重視 ・住居予定年数が10年以上 ・色も重視したい |
費用より耐久性を重視 |
フッ素塗料 |
55~71万円 |
・費用よりも耐久性重視 ・住居予定年数が20年以上 ・機能性も重視したい |
選び方のポイント2.求める機能性から選ぶ
一般的な塗料の耐久性だけではなく、他の機能を求めている人は「機能性塗料」から選ぶことをおすすめします。
一般的な塗料より費用は高くなりますが、それ以上に機能性に優れているため、建物の劣化を長期的に抑えたい人に向いています。
求める機能性 |
塗料の種類 |
選び方のポイント |
省エネ・節電効果で 家計を見直したい |
遮熱性塗料 |
・夏場の電気代を減らしたい ・冬場でも比較的寒くない地域に住んでいる |
なによりも 耐用年数を重視 |
無機塗料 |
・耐用年数は20~25年ともっとも長い ・長期的に見て塗装工事の回数を減らせる |
汚れがつきにくく 見た目のきれいさを重視 |
光触媒塗料 |
・セルフクリーニング効果で美観が保てる ・汚れがつきにくいため耐久性が高い |
費用を抑えつつ 機能性も重視 |
ラジカル塗料 |
・機能性と費用のバランスを重視 ・外壁材を問わず塗装できる |
選び方のポイント3.塗料の色まで考慮する
外壁塗装は、外観をきれいに見せたり雰囲気を変える役割もあります。「どんな色にしよう?」と悩むのも楽しみのひとつですよね。しかし、メーカーごとに取り扱っている色が異なるため塗料の色まで考慮して選ぶことがポイントです。
塗料のカラーバリエーションは、パンフレットやHPなどで簡単に調べることができます。また、希望色から「カラーシュミレーション」をおこなってくれる業者も多いので、ぜひ活用してあなたの自宅に合った色を選んでください。
まとめ:外壁塗装の種類は「特徴」と「単価」で見きわめよう
外壁塗装に使用する塗料の種類はとても多く特徴もさまざまなため、どの塗料を選べば良いか悩んでしまいますよね。外壁塗装は決して安いものではないため、希望予算も考慮しつつ選ぶ必要があります。
しかし費用を安く抑えることだけ考えてしまうと、耐用年数の短さから早いスパンで再度塗装をしなければいけなくなります。
もちろん、住居環境によっては耐用年数が短いものでも対応できますが、今後何十年も今の自宅に住む予定ならば、塗料の「特徴」と「単価」のバランスを見きわめて選ぶことが大切です。
あなたの大切な家を守るため、そして外観の美しさを保つために、条件や希望に合った塗料を選び、後悔しない外壁塗装をおこなってくださいね。この記事があなたの参考になれば幸いです。