外壁塗装でアトモスを使うとどんな仕上がりになる?メリット・デメリットも解説
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
外壁塗装をされる方の中で「アトモスって何?」と疑問に思われる方がいると思います。
ただ、聞いたことがなくても不思議ではありません。アトモスは塗料の種類の名前ではなく、塗料の中の1つの商品名だからです。
しかし、マイナー塗料であるアトモスとはいえ、もしあなたが、
「お金はかかってもいいから高級感あふれる外壁塗装にしてほしい!」とお考えなら、最適の塗料が、アトモスです。
アトモスにはたくさんのメリットがあります。
この記事ではアトモスのメリットデメリットについて徹底検証してみたいと思います。
もくじ
アトモスってそもそも何のこと?ホタテの貝殻がポイント
アトモス(ATOMOS)は、株式会社アペティーが開発・販売している塗料で、セラミック系塗料と呼ばれる塗料の中の一つです。
セラミック系塗料とは、石の粒や砂などを入れた塗料のことです。石や砂を入れることでぐっと耐久性が増す、という特長を持っています。
アトモスの特徴は下記の表の通りです。
分類 |
水性セラミック塗料 |
使える外壁 |
コンクリート・モルタル ・ALC・サイディング |
工法 |
吹付工法 |
色数 |
20種類 |
価格 |
1㎡当たり9,000~ 14,000円 |
アトモスにはホタテの貝殻が含まれています。ホタテの貝殻は、湿度・温度を調節する機能を持っていて、昔から蔵の壁面などに使われていました。
この、ホタテの貝殻を焼いて消石灰を作り、それを塗料に混ぜることで、耐久性に優れたアトモスへと生まれ変わるのです。
外壁塗装でアトモスを使うとどんな仕上がりになるの?
出典:株式会社アぺティーホームページ:https://apetie.co.jp/product/p01.html
上の写真はアトモスのサンプル画像です。
ご覧のように、アトモスを使うと、高級な石材を使用したかのような、大変すばらしい仕上がりになります。
高級な石材というと、まず大理石が思い浮かぶのではないでしょうか。美術館や高級ホテルで使用されていますね。
アトモスを吹き付けると、ざらざらした質感ではありますが、大理石調の柄に仕上げることもできるので、美しい外壁塗装になるのです。
石材でできた家でなくても、石材のように見えて、素敵ですね。
外壁塗装でアトモスを使うメリットとは?9つ紹介
外壁塗装にアトモスを使うメリットはたくさんあります。この記事では9つ取り上げたいと思います。
- 高いデザイン性
- 耐用年数の長さ
- 弾力性を持っている
- 撥水効果がある
- 防水性・通気性を持っている
- 断熱性に優れている
- 防火災性を持つ
- ファンデーション効果がある
- 防藻・防カビ・防菌性を持つ
一つずつ見ていきましょう。
アトモスのメリット1.デザイン性
自然の石材と高温で焼いた無機質骨材を使うことで、鮮やかな発色と立体感とを実現しています。
透き通る性質を持つ骨材が、その色合いにさらに深みを加えています。さらに、軽量のため、外壁の下地に負荷をかけません。
アトモスのメリット2.耐用年数が長い
高温で焼いた無機質骨材を使用しているため、長期にわたってクラック(ひび割れ)や色あせのない状態を保ち、耐久性・耐候性に優れています。
耐用年数はメーカーのホームページには明記されていませんが、だいたい20年程度とされています。
塗膜の表面にあるセラミックが紫外線による劣化を防いでくれるので、この耐用年数の長さにつながっているようです。
アトモスのメリット3.弾力性がある
アペティー社独自の製法により、アトモスには弾力性が備わっています。
その弾力性が曲がりに従うおかげで、石材調塗料では難しかった箇所にも施工が可能になっています。(しかし、笠木、手すり、セットバック、幅木 パラペットなどには塗装できません。)
アトモスのメリット4.撥水効果がある
アペティー社独自のシリコントップコートにより、アトモスには撥水性があり、雨水が染み込むことからくる外壁の劣化を防ぎます。
さらに、フッ素コーティングをお選びになりますと、より高い撥水効果が得られます。
アトモスのメリット5.防水・通気性
アトモスはセラミック系塗料の特徴である、防水性を持っています。また、通気性にも優れています。
つまり、水は防ぎながらも空気は通し、壁内結露を抑止して建物の劣化を防いでくれるのです。
外壁塗装は見た目の問題も大事ですが、主な役割は建物の寿命を延ばすことですので、アトモスは優秀な塗料であると言えます。
アトモスのメリット6.断熱性に優れる
無機質骨材は熱伝導率が低いのも特徴です。アトモスの熱伝導率が低いので、外壁に降り注ぐ夏の強い紫外線も、内壁に届く量は減ります。
また、塗膜の厚みも他の塗料と比べて厚いので、断熱効果があるのです。
断熱効果があると、昨今の猛暑のような気候の中でも、断熱効果のない塗料にした時よりも冷房費を安く抑えることができますので、経済的ですね。
このように、あなたの住宅の快適性を上げる素材が、アトモスの長所となっています。
アトモスのメリット7.防火災性がある
セラミック素材の特徴として、一般の塗料に比べて燃えにくい、というものがあります。
また、アトモスの成分となっているホタテの貝殻も、不燃性です。よって、アトモスには防火災性がある、と言えます。
アトモスのメリット8.ファンデーション効果
外壁塗装は、よく、お化粧に例えられます。洗顔が高圧洗浄、化粧水や乳液が下地処理、そして、ファンデーションが塗装に例えられます。
お化粧のファンデーションは、肌のしみ・そばかす・毛穴を目立たなくする目的で塗られます。同じように、外壁塗装では、小さなクラックや汚れを目立たなくするために塗料を塗ります。
アトモスは塗膜が厚いため、このファンデーション効果も高いので、外壁がよりきれいに見るのです。
アトモスのメリット9.防藻・防カビ・防菌性
アトモスは、仕上げのコーティングによって、藻やカビや菌を防ぐので、外壁を清潔に保つことができます。
上の写真を見て頂ければ一目瞭然のように、外壁に藻やカビや菌がついている状態というのは、かなり印象を悪くします。
これらを防ぐことができれば、次の外壁塗装まで、長い間見た目を良く保つことができますので、そういった点でもアトモスは優秀です。
外壁塗装でアトモスを使うデメリットとは?3つ紹介
アトモスのメリットはたくさんありますが、それでも何のデメリットもない塗料というものは存在しませんので、当然ながらアトモスにもデメリットがあります。
この記事では、アトモスの3つのデメリットについて触れておきたいと思います。
「アトモスにしようかな、でもどうしようかな」と考えてらっしゃるなら、メリットとデメリットをよく比較検討されることを勧めいたします。
アトモスのデメリット1.とにかく高い
アトモスの一番のデメリットは、かかる費用がとにかく高いことです。
先ほどアトモスの1平方メートル当たりの単価について表の中で触れましたが、他の塗料との比較を、改めて表にまとめてみますと、次のようになります。
なお、今回は40坪の総費を例として上げていますが、屋根塗装費は含まれていません。足場代やその他の諸経費はすべて含まれています。
また、40坪の総費用の計算の仕方について詳しくはこちらをご覧ください。
塗料の種類 |
1㎡当たり の単価 |
耐用年数 |
40坪の 総費用目安 |
アクリル 系塗料 |
1,000~ 1,200円 |
5~7年 |
60~ 75万円 |
ウレタン 系塗料 |
1,800~ 2,000円 |
6~8年 |
72~ 92万円 |
シリコン 系塗料 |
2,500~ 3,500円 |
10~15年 |
83~ 110万円 |
フッ素 系塗料 |
3,500~ 4,500円 |
15~20年 |
99~ 121万円 |
アトモス |
9,000~ 14,000円 |
20年 |
186万円~ 265万円 |
この表を見て分かるように、アトモスは、人気のシリコン系塗料と比べても約3倍~4倍の単価となっています。
外壁塗装の塗料については、単価だけで比較するより、コストパフォーマンス的に耐用年数との兼ね合いを考えるのが一般的な比較法です。
しかし耐用年数との兼ね合いを考えても、アトモスはコストパフォーマンスが良いとは言えません。
アトモスが高級感を出せる、ということは、実際、アトモスが高級な塗料だからなのです。
予算を考えずに見た目の美しさだけに惹かれて「アトモスで!」と注文した後に、価格を見て衝撃を受けることのないよう、費用がかさむ点はしっかりと銘記しておいた方が賢明でしょう。
アトモスのデメリット2.色数が少ない
アトモスの二つ目のデメリットは、色数の少なさです。
アトモスは自然色が中心であり、真っ赤とか真っ青とか真っ黒といった原色や濃い色は扱っていません。現在、業者が扱っているのは20色程度です。
日本塗料工業会の色見本帳には600色以上の色が用意されていることを考えますと、20色というのは色数的に少ないほうだと言えるでしょう。
ただ、アトモスの醸し出す高級石材調がお好みの方の中で、「真っ赤な外壁にしたい」「真っ青な目立つ色にしたい」という方はあまりいらっしゃらないと思われます。
そのため、高級石材調を重視するならば、あまり色は気にならないかもしれません。
以下の記事では、外壁塗装におすすめの色の選び方を紹介しているので、もし興味があれば、そちらも見てみてください。
参考記事:外壁塗装に最適なのは何色?おすすめの色選びを徹底解説!
アトモスのデメリット3.吹付工法しかない
アトモスのデメリットの3つ目は、業者のスキルに関わるもので、吹付工法しかない、という点です。つまり、ローラーやハケで塗ることができない、というわけです。
アトモスが凹凸の多い塗料なので、ローラーやハケでは塗ることができないのです。
「でもそれは、職人さんにとってはやりにくさを意味するかもしれないけど、依頼主には関係ないんじゃないの?」と思われるかもしれませんね。
しかし、職人にとってやりにくさを意味するということは、業者選びに手間がかかる、ということでもあるのです。
吹付工法のスキルに長けた業者を探す必要がありますし、技術料を別途請求する業者もあるかもしれません。
アトモスの良さを十分引き出してくれる業者を探す手間がいるのです。
そこでオススメするのが、関西地方にお住まいの方限定にはなりますが、ペイントセレクトのご利用です。
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悪質業者にぶつからないためにも、ペイントセレクトのご利用はオススメです。
アトモス塗料をお勧めする人はどんな人?
以上のように、アトモスは決して万人受けする塗料ではなく、人を選ぶ塗料の一つです。
コストパフォーマンスの良さゆえに「これを選んでおけば間違いなし」と言われる、シリコン系塗料とは対照的です。
では、アトモスを選ぶのがオススメな人、アトモス以外の塗料を選んだほうが良い人、とはどんな人たちなのでしょうか。簡単にご紹介しましょう。
こんな人はアトモスを選びましょう
アトモスは、高級志向の方に向いている塗料です。
「お金に糸目は付けないから美しい外壁塗装にしたい!」「コストはかかっても、石材調の高級感あふれる外壁にしたい!」とお考えでしたら、アトモスはピッタリの塗料です。
また、「数年に一度外壁塗装するのは、お金はあっても面倒だから嫌。
なるべく長持ちする外壁にしたい」とお考えの方にも、耐用年数が20年であるアトモスは向いているといえるでしょう。
こんな人はアトモス以外の塗料にしましょう
逆に、「予算もあまりないからできるだけリーズナブルな塗料を選びたい」「塗料はコストパフォーマンス重視で選びたい」「個性的な色で目立つ外壁塗装にしたい」とお考えの方は、アトモス以外の塗料をお勧め致します。
「予算もあまりないからできるだけリーズナブルな塗料を選びたい」という方には、チープでもアクリル塗料はお勧めできませんので、ウレタン塗料がオススメです。
(アクリル塗料がオススメできない理由はこちらから)
「塗料はコストパフォーマンス重視で選びたい」「個性的な色で目立つ外壁塗装にしたい」という方にはシリコン系塗料がお勧めです。
あなたの要望に合わせた塗料を選んでくださいね。
以下の記事では、外壁塗装でおすすめの塗料を紹介しています。
参考記事:外壁塗装の種類別塗料人気ランキング!あなたにおすすめしたいのはこれ!
まとめ:高級感を追求するならアトモスで
高級感あふれる外観や塗料の品質を重視する方は、アトモスをご検討なさるのが良いかと思います。
この記事で書いた9つのメリットや、アトモスのサンプルで見たその美しさは、確かにアトモスの数ある魅力の一部です。
価格が高いというデメリットもあるにはありますが、予算の都合がつくなら、また石材調がお好きなら、アトモスにして後悔する、ということはまずないでしょう。
いずれにしても、やはりプロに意見を聞きたいところですよね。
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