アクリル塗料の外壁塗装は時代遅れ?敬遠される理由と他塗料との比較
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
外壁塗装では数十万~百万円以上のコストがかかりますが、料金表を見ると、アクリル塗料ならコストを抑えることができそうに見えます。
なので、アクリル樹脂塗料でいいかな、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、アクリル塗料は今ではあまり使われていないのが現状です。
どうしてでしょうか?この記事では、賢い外壁塗装をするために、知っておいて損はない塗料の知識の一つとして、アクリル塗料についてご説明します。
もくじ
アクリル塗料とは?アクリル塗料の基本知識
アクリル塗料はずいぶん昔に主流だった外壁塗装のための塗料です。グレード的には全ての種類の塗料の中で一番下で、その安さゆえに昔は重宝されていました。
外壁塗装の塗料には、耐久性などを良くするために合成樹脂が混ぜられています。その合成樹脂の種類によって耐久性に違いが出るので、合成樹脂の種類で分類されるのが外壁塗装の塗料なのです。
そして、アクリル塗料とは、合成樹脂にアクリル合成樹脂が入っている塗料のことを指します。
アクリル塗料(アクリル合成樹脂)は、単価の安さや色数の多さが魅力ですが、その反面、実はコストパフォーマンス的に劣る、という特徴があります。
では、アクリル塗料の長所と短所について、詳しく見ていきましょう。
アクリル塗料のココがメリットです
アクリル塗料のメリットは、単価の安さ、色数の多さ、1液型なので1液と2液を混ぜる手間がいらないところです。
まずは、単価の安さです。アクリル塗料は1㎡当たり1,000円から1,200円という安値で塗装可能です。
グレードの高いフッ素塗料と比べますと、フッ素塗料は1㎡当たり3,500円から4,500円の単価ですから、実に3倍以上の差が出ることになります。
また、アクリル塗料は色数も豊富です。昔主流だっただけあり、色はたくさんあります。ただし、今はあまり使われてない塗料のため、廃版になった色もあるので注意は必要です。
そして、塗装の際の手間いらずなところもアクリル塗料のメリットと言えるでしょう。
1液と2液を混ぜるタイプの塗料はコツが要りますから、職人さんでないと良い仕上がりにならないものも多いのですが、アクリル塗料は1液のみですので、DIYで塗装なさる方もいます。
では次に、デメリットについて見ていきましょう。
アクリル塗料のココがデメリットです
アクリル塗料のデメリットは、まず耐用年数の短さゆえに、コストパフォーマンスが低いところです。
外壁塗装の際、塗料の費用の占める割合は3割であると言われています。あとの7割は、足場代や養生代、交通費、諸経費などに費やされます。
ですから、耐用年数が短いと、その7割を短いスパンで何度か払うことになり、コストパフォーマンス的に効率が悪いといえるのです。
この点については後の項目で詳述いたします。
そして、アクリル塗料のデメリットのもう1つは、耐用年数の短さにも関係しますが、劣化の早さです。
アクリル塗料は紫外線に弱いため劣化するのが早く、屋根塗装に向きません。クラックと呼ばれるひび割れが起きるのもほかの塗料より早いのです。
次の項目では、アクリル塗料が敬遠されるようになった理由についてご説明いたします。
アクリル塗料による外壁塗装が敬遠される理由
単価の安さが売りだったアクリル塗料ですが、今では安いにもかかわらず選ばれることが少なくなりました。なぜでしょうか。
それは、グレードが高く耐用年数がアクリル塗料より長い塗料である、ウレタン塗料やシリコン塗料などの単価が下がってきたからです。
2020年現在で、ウレタン塗料の1㎡当たりの単価は1,800円から2,000円、耐用年数は6~8年です。シリコン塗料の1㎡当たりの単価は2,500円から3,500円、耐用年数は10~15年です。
シリコン塗料と比べると、アクリル塗料の耐用年数は約2分の1しかありません。
先ほど述べましたように、アクリル塗料を選んだ場合に、単純に考えて足場代がシリコン塗料の2倍近くかかるわけです。
アクリル塗料が敬遠される理由がお分かりいただけると思います。
しかし、そうは言っても、アクリル塗料の需要が全くないわけではありません。どんなシーンでアクリル塗料が使われているのでしょうか。
アクリル塗料が今でも使われているのはなぜ?
ここまで読んでくださった方が疑問に思われるのが、「安さが取り柄のアクリル塗料が、コスパ的にも良くないのなら、なぜ廃版にならないのか」という点でしょう。
アクリル塗料が全く廃れてしまわないのにも、わけがあります。シンプルに、需要があるからです。
経済的にゆとりのある方で、外壁の色を数年ごとに変えて楽しみたい、という方もいらっしゃいます。そんな方にはアクリル塗料はお手頃な塗料となります。
また、5年以内に建て替えるが、その5年間だけ持つ塗料に塗り替えたい、というニーズのある方もいらっしゃいます。アクリル塗料がうってつけですね。
また、それだけではなく、次の3つのシーンで使うことも多くあります。
- 軒天
- 新築
- 室内
です。一つずつご説明しましょう。
今でも使われているところ①軒天
軒天は太陽光が当たりにくいため、湿気がたまりがちです。
そこで、軒天には透湿性の優れたアクリル塗料が使われることがあります。透湿性とは、水蒸気を外に出す性質のことです。
シリコン樹脂塗料やフッ素塗料は、透湿性が劣るため、アクリル塗料が選ばれます。
今でも使われているところ②新築
建て売りの新築住宅は、とにかく安く仕上げて早く売りたいため、アクリル塗料が使われているケースがあります。
新築住宅にアクリル塗料が使われるのには、他にもわけがあります。
木造の新築の家というのは、木材が若干動くものですので、どんな塗料を使ってもクラック、つまりひび割れができやすくなります。
それで、塗り替えをする必要が出てきます。
そのことを見すえて、最初からグレードの高い塗料を使うのはもったいないので、はじめは安いアクリル塗料にする、という場合もあるのです。
今でも使われているところ③室内
アクリル塗料は紫外線に弱く、劣化しやすいことは先にも述べました。しかし、これは裏を返せば、紫外線の当たらないところなら問題ない、ということでもあります。
それで、紫外線の当たらない室内の塗装にアクリル塗料を使うケースもあります。
オフィスの室内に塗装する場合は2年で塗りかえるので、アクリル塗料の耐用年数の短さも問題になりません。
戸建ての住宅の内装の場合は2年では塗りかえない場合が多いでしょうが、それでも外壁塗装に使うときほど劣化が早くないので、問題なく使うことができます。
アクリル塗料の救世主?新しいタイプのアクリル塗料
古いタイプのアクリル塗料は、先の3項目で述べたように軒天、新築、室内で使われますが、新しいタイプのアクリル塗料は外壁塗装で活躍できるものも存在します。
その、アクリル塗料のホープとも言える2種類のアクリル塗料をここで簡単にご紹介しましょう。
1.ピュアアクリルはココがすごい!
アクリル塗料のホープの最初にご紹介するのが、ピュアアクリルです。ピュアアクリルはオーストラリアのメーカーが開発・販売している製品で、お値段は高めです。
本来、アクリル樹脂そのものの性質は耐久性に優れています。しかし、アクリル塗料には不純物が混ざっているため、耐久性が低いのです。
ピュアアクリルは不純物を除去したアクリル塗料ですので、アクリル樹脂が本来持っている耐久性の高さを誇ります。
なんと、フッ素樹脂塗料と同じ、15年の耐久性を持つのです。
さらに、ポリカーボネートと呼ばれるガラスが入っているため、耐候性の高さもピュアアクリルのすごいところです。
2.パーフェクトトップはココがすごい!
パーフェクトトップは、劣化因子であるラジカルを抑える機能を持ったアクリル塗料です。
パーフェクトトップは、シリコン樹脂塗料の耐用年数を超えますし、お値段がシリコン樹脂塗料と変わらないので、近年人気の塗料です。
グレードとしては、シリコン樹脂塗料とフッ素樹脂塗料との間になります。
また、パーフェクトトップは水性塗料のため、安全性に優れ、シックハウスなどの症状を引き起こす心配もありません。
アクリル塗料の最大の難点である耐用年数の短さを克服した、アクリル塗料のホープとして、パーフェクトトップは輝いています。
アクリル塗料を代替する他のオススメ塗料とは?【費用などを比較】
さらに、アクリルと名の付く塗料は他にもあります。
まず、アクリルシリコン塗料です。「アクリルなの?シリコンなの?どっち?」と思われる方も少なくないようです。
アクリルシリコン塗料はシリコン樹脂塗料のことです。
シリコン樹脂塗料はアクリルとシリコンを反応させて作った塗料なので、シリコン樹脂塗料のことをアクリルシリコン樹脂塗料と呼ぶことがあるのです。
もう1つ、弾性アクリル塗料もあります。これは、耐候性はほかのアクリル塗料と変わりませんが、弾性があるため、クラックを起きにくくしてくれる塗料です。
ここまで書いてきましたように、アクリル塗料にもいろいろありますが、トータルで考えますと、アクリル塗料はオススメできないのが実情です。
その理由を次の項目で詳述いたします。
アクリル塗料と他の塗料とのコスパ的比較表
それでは、コストパフォーマンスを一目でご理解いただくために、外壁塗装の総費用を耐用年数で割り、1年当たりいくらかかるのかを塗料の種類別に表にしましょう。ここでは、40坪の家を想定して計算してあります。
塗料 |
総費用 |
耐用年数 |
1年あたりに 換算した費用 |
アクリル 樹脂塗料 |
60~ 75万円 |
5~7年 |
12万円 |
ウレタン 樹脂塗料 |
72~ 92万円 |
6~8年 |
12万円 |
シリコン 樹脂塗料 |
83~ 110万円 |
10~15年 |
8万3千円 |
フッ素樹 脂塗料 |
99~ 121万円 |
15~20年 |
6万6千円 |
アクリル塗料がコストパフォーマンス的にお得とは言えないのがお分かりいただけたことでしょう。
もちろん、外壁塗装の実際の値段というものはケースバイケースですので、上の表は一つの目安にすぎません。
詳しいことは業者に聞くのが一番です。とはいえ、優良業者を見定めるのも一苦労ですね。
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コストパフォーマンスではシリコンが最もおすすめ
さて、それでは結局、どの塗料がおすすめなのでしょうか。
トータルで考えますと、シリコン塗料が一番オススメと言えます。
先の表では、コストパフォーマンス的にはフッ素が一番お得でしたが、一回に支払う費用が100万円を超えることを考えますと、ちょっと手が出せないと思う方も少なからずいらっしゃることでしょう。
ウレタンですと、コストパフォーマンス的にアクリルとあまり差がありません。
それで、トータルで考えますと、シリコンがおすすめなのです。
シリコン樹脂塗料をおすすめする理由について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
各塗料を比較しています。
参考記事:外壁塗装の種類別塗料人気ランキング!あなたにおすすめしたいのはこれ!
まとめ:外壁塗装にアクリル塗料はオススメしません
外壁塗装にアクリル塗料をおすすめしない理由、それは安かろう悪かろうだからです。そしてさらに、実際には安く見えてコスパは低いというわけです。
今は、シリコンなどの良い塗料が昔より安く塗装できる時代ですので、わざわざアクリル塗料を選ぶことはしないほうが賢明だと言えるでしょう。
本記事では様々な知識を共有させていただきましたが、外壁塗装の際にはこういった知識もあった方がいいですね。
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