しっかり検討しよう!光触媒による外壁塗装の注意点を紹介
執筆者:ペイントセレクト編集長
塗装業界での長年の工事経験を元に、外壁塗装に関するお役立ち情報を発信中。読者様に正しい情報を届け、塗装に満足してもらうのが私の使命です。
大切なお家を守るために欠かせない外壁塗装。塗装メンテナンスの時期が近づき、すでに業者から見積りを取っている人もいるかもしれませんね。
シリコンなどの「一般的な塗料」をはじめ、さまざまな効果が得られる「機能性塗料」など、複数の塗装プランを提案されたかと思います。
塗料の種類によって特徴や費用などが異なるため、どれを選べばいいか分からず悩んでしまいますよね。
そこで今回は、機能性塗料のひとつ「光触媒」にスポットライトを当ててみました。
・光触媒塗料を勧められたけど本当にいいの?
・どんな効果があるの?
・メリットやデメリットは?
最後まで読んでいただければ、このような疑問をすべて解決できます。費用相場や注意点なども紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
もくじ
光触媒塗料による外壁塗装で得られる効果
光触媒塗料とは、酸化チタンを原料とした塗料のこと。紫外線が当たると有機有害物質を無害物質(二酸化炭素と水)に変化させる効果があります。
有機有害物質とは、排気ガス・土ぼこり・PM2.5・工場の排煙などに含まれている物質。環境や人体へ悪影響をあたえるものです。
排気ガスや土ぼこりは外壁にも付着します。外壁の汚れが蓄積していくと、見た目が悪くなったり劣化が起きたりする原因になります。
しかし光触媒は、塗料に含まれている酸化チタンが紫外線に反応して汚れを分解。
一般的な塗料よりも汚れがつきにくいため、長期間劣化をおさえることができます。
光触媒塗料を外壁塗装に使うメリットとは?
光触媒塗料の効果については科学的な説明もあったので、少し難しく感じた人もいるかもしれませんね。
より理解できるように、この章では「光触媒塗料を外壁塗装に使う3つのメリット」を紹介します。
- セルフクリーニング機能
- 空気清浄効果
- トップクラスの耐用年数
どのような点が優れているのか、以下で詳しく見ていきましょう。
メリット1.汚れがつきにくい「セルフクリーニング機能」
光触媒塗料のメリット1つめは、汚れがつきにくい「セルフクリーニング機能」があることです。
セルフクリーニング機能とは、その名のとおり「自ら洗浄してくれる」ことです。セルフクリーニングは、以下の原理でおこなわれます。
- 酸化チタンが紫外線に当たることで化学反応が起きる
- 外壁に付着した汚れが分解される
- 分解された汚れを雨水が洗い流す
光触媒は「親水性」にも優れている塗料。外壁に付着した雨水は水玉にならず、薄く広がる性質をもっています。
そのため雨水と汚れが混ざりやすく、
雨が降ると自動的に汚れが洗い流されるのです。
見た目の美しさを維持できることはもちろん、汚れの付着による劣化を長期間おさえることもできます。
メリット2.自宅周辺の空気をきれいにする「空気清浄効果」
光触媒塗料のメリット2つめは、自宅周辺の空気をきれいにする「空気清浄効果」があることです。
光触媒塗料で塗装した外壁に太陽光が当たると「活性酵素」が発生。活性酵素の働きで空気中の窒素酸化物が酸化・除去され、空気をきれいにします。
空気をきれいにしてくれる範囲は、戸建1件に対しておよそ1,000平方メートル(テニスコート4面分)もの広さに発揮。
除去される窒素酸化物の量は、乗用車12台が排出する排気ガスと同じくらいになります。
光触媒は、環境にも住んでいる人にも優しい塗料と言えるでしょう。
メリット3.長期間劣化しにくい「トップクラスの耐用年数」
光触媒塗料のメリット3つめは、長期間劣化しにくい「トップクラスの耐用年数」をもつことです。
光触媒塗料の耐用年数は16~22年ほど。
紫外線に強いフッ素塗料と同じくらいの耐久性をもっています。また、シリコン塗料と比べると1.5~2倍も長くなります。
光触媒塗料は、トップクラスの耐用年数をもった塗料と言えるでしょう。
しかし、住居環境や立地によって耐用年数が変わる、メーカーによって耐用年数に差があるなどの注意が必要です。
光触媒塗料を外壁塗装に使うデメリットとは?4つ紹介
光触媒塗料には、一般的な塗料にはないさまざなメリットがあります。しかしデメリットをしっかり把握しておかないと、外壁塗装に失敗する恐れがあります。
- 住居環境や立地によっては効果が出にくい
- カラーバリエーションが少ない
- 扱いにくい塗料で施工が難しい
- セルフクリーニングできない汚れもある
それぞれの内容を、以下で詳しく見ていきましょう。
デメリット1.住居環境や立地によっては効果が出にくい
光触媒塗料のデメリット1つめは、住居環境や立地によっては効果が出にくいことです。
セルフクリーニング効果や空気清浄効果は、紫外線や雨水を利用して発揮される効果になります。そのため以下のような環境では、十分な効果が発揮されない可能性が高くなるでしょう。
- 軒が長く出ている外壁面
- 隣家との間が1メートル未満の外壁面
- 周囲に高い建物が多く常に日陰の外壁面
光触媒塗料を使用する場合は、住居環境や立地を考慮したうえで判断することが大切です。
デメリット2.カラーバリエーションが少ない
光触媒塗料のデメリット2つめは、カラーバリエーションが少ないことです。
光触媒塗料のカラーバリエーションは、淡色ばかりで濃色はありません。これは、光触媒塗料に含まれている”酸化チタンの色”に関係しています。
酸化チタンの本来の色は「白色」です。この白色がどうしても強く出てしまうため、濃色をつくることが難しくなります。
濃色を希望する場合は光触媒塗料以外で好みの色に塗装した後、光触媒コーティングを塗ることも可能です。
ただし、どの種類の塗料でも使用できるわけではありません。適切な塗料を使用しないと施工不良につながるため、注意して選ぶ必要があります。
少ないカラーバリエーションの中から自宅に合う色を見つけたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
参考記事→外壁塗装でカラーシミュレーションする時の注意点や依頼方法は?
デメリット3.扱いにくい塗料で施工が難しい
光触媒塗料のデメリット3つめは、扱いにくい塗料で施工が難しいことです。
光触媒塗料は粘度が低くサラサラしているため、塗装時に垂れやすくムラになりやすい塗料です。
仕上がりにムラが出てると十分な効果が発揮されないため、塗装するには技術が必要となります。
他の塗料よりも天気や気温などに左右されやすいので、施工の際は十分な注意を払わなければいけません。
また、光触媒塗料は工程が多いこともデメリットです。一般的な塗料は3回塗りが基本ですが、光触媒塗料は4回塗りをしなければいけません。
- 一般的な塗料(3回塗り):下塗り・中塗り・上塗り
- 光触媒塗料(4回塗り):下塗り・中塗り・上塗り・光触媒コーティング
光触媒塗料による外壁塗装には技術や手間を要するため、
施工実績がない業者への依頼は避けたほうが無難です。
ただ、施工実績がない業者を見分けるのは、なかなか難しいものです…。
そのため、見積もりサイトを利用する際に、「しっかりと施工実績があるか?」「悪徳業者ではないか?」などをプロに相談しましょう。
関西にお住まいの方限定のサービスにはなりますが、ぜひペイントセレクトを利用してみてください。
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デメリット4.セルフクリーニングできない汚れもある
光触媒塗料のデメリット4つめは、セルフクリーニングできない汚れもあることです。
光触媒塗料で塗装したからといって、どんな汚れでもセルフクリーニングしてくれるわけではありません。
セルフクリーニングを発揮するのは「有機化合物由来の汚れ」のみです。無機化合物由来の汚れには効果がありません。
無機化合物由来の汚れには、サビや黄砂、エフロレッセンス(白華現象)などがあります。また泥や鳥のフン、樹液などのガンコな汚れも、セルフクリーニングできません。
「光触媒=まったく汚れがつかない」という定義ではないということを、覚えておきましょう。
光触媒塗料による外壁塗装の費用相場を他塗料と比較
機能性塗料である光触媒は、一般的な塗料と比べて費用は高くなるのでしょうか。30坪の家に塗装した場合の費用相場を、光触媒塗料と一般的な塗料で比較してみました。
塗料の種類 |
耐用年数 |
単価相場 (平方 メートル) |
費用相場 (足場・ 諸経費込み) |
シリコン |
10~15年 |
2,300~ 3,000円 |
60万円前後 |
フッ素 |
15~20年 |
3,800~ 4,800円 |
90万円前後 |
光触媒 |
16~22年 |
4,200~ 5,000円 |
130万円前後 |
さまざまな機能をもつ光触媒塗料は、一般的な塗料と比べると高額になります。
しかし耐用年数が長いため、塗装メンテナンスの回数を減らすことが可能です。
コストパフォーマンスなど総合力で考えると、シリコンがおすすめとも言えますが、仕上がりや目的から考えるといいと思います。
塗料にあまり知識のない方が、自分で決めることは難しいと思うので、最終的にはプロに相談するといいでしょう。
また、費用相場よりも高い金額を提示してくる悪徳業者もおり、適正費用で施工するためにもプロへ相談をおすすめします。
関西にお住まいの方でしたら、外壁塗装の適正価格を知るためにペイントセレクトを利用してみてください。
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光触媒塗料による外壁塗装の注意点は?
光触媒塗料のメリット・デメリットを理解したうえで、「光触媒塗料で外壁塗装してみたい」と考えた人も多いかと思います。
しかし光触媒は発売されたばかりで、施工実績はそれほど多くありません。
また、他の塗料と比べると信頼性が低く、注意するべき点が多い塗料です。
そのため、プロに相談する前に、あなた自身で知っておくべき光触媒塗料の注意点を記載しておきます。
- 屋根用の塗料は販売されていない
- 大手メーカーでは販売されていない
- 営業の言葉を鵜呑みにしてはいけない
どのようなことに注意が必要なのか、以下で詳しく見ていきましょう。
注意点1.屋根用の塗料は販売されていない
注意点1つめは、屋根用の塗料は販売されていないことです。
紫外線や雨風の影響をダイレクトに受ける屋根は、外壁よりも早いスピードで劣化します。そのため、耐用年数のバランスを考えて塗装する必要があります。
例:屋根塗装にシリコン塗料を使用した場合
塗装箇所 |
塗料 の種類 |
耐用年数 |
塗装 メンテナンス 回数(時期) |
屋根 |
シリコン |
8~10年 |
合計2回 (10年目・ 20年目) |
外壁 |
光触媒 |
16~22年 |
合計1回 (20年目) |
塗装工事をおこなうには、足場を設置する必要があります。外壁と屋根を別々に塗装するとそのたびに足場代がかかることになります。
一般的な大きさの家にかかる足場代はおよそ20万円。塗装メンテナンスの時期がズレると、その分出費が増えてしまいます。
光触媒塗料で外壁塗装をする場合は、屋根に使用する塗料はハイグレードなものを選ぶことが大切です。
注意点2.大手メーカーでは販売されていない
注意点2つめは、大手メーカーでは販売されていないことです。
日本の大手塗料メーカーは、関西ペイント・日本ペイント・エスケー化研の3社になります。しかしこれら大手3社からは、光触媒塗料は発売されておりません。
光触媒が悪い塗料という意味ではありませんが、信頼のおける大手メーカーから発売されていない事実は把握しておくべきでしょう。
現在、光触媒塗料を販売しているメーカーは以下のとおりです。
- ピアレックス/「ピュアコート」シリーズ
- 日本特殊塗料/「エヌティオ」シリーズ
- SICコーティングス/「アートファイン」シリーズ
- ニュートラル/「NU-COAT」シリーズ
光触媒塗料で外壁塗装する場合は、施工実績のある業者を選びましょう。
施工後5~10年経って施工不良やトラブルが起きていなければ、光触媒の効果が発揮されている可能性が高いと言えます。
注意点3.営業の言葉を鵜呑みにしないようにする
注意点3つめは、営業の言葉を鵜呑みにしないようにすることです。
施工実績が少ない光触媒は、良し悪しを判断しにくい塗料とも言えます。そのため、いいところばかりプッシュしてくる営業には注意してください。
特に注意が必要なのが「訪問販売の営業」です。訪問販売の営業は、実績や知識が少ないことがほとんど。
手抜き工事や高い費用を請求されるなど、トラブルが発生する恐れがあります。
悪徳業者に騙されないためにも、営業の言葉を鵜呑みにしないように注意しましょう。
外壁塗装の訪問販売について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考記事→【外壁塗装】訪問販売に騙されるな!危険な営業トーク例を紹介
光触媒塗料で外壁塗装をするなら必ず相見積もりを取ろう
光触媒塗料で外壁塗装をするなら、相見積もりを取ることが重要です。
機能性に優れている塗料ですが、その分費用も高くなります。適正価格で施工してもらうために、必ず相見積もりをしましょう。
また住居環境や立地によっては、十分な効果を発揮しない場合もあります。塗装後に後悔しないためにも、親身になって相談にのってくれる業者を選ぶことも大切です。
まとめ:光触媒は高性能だが注意も必要!しっかり検討して外壁塗装しよう
セルフクリーニングや空気清浄効果など、優れた機能をもつ光触媒塗料。耐用年数も16~22年と非常に長いため、塗装メンテナンスの回数を減らすことができます。
しかし実績が少ないため、注意すべき点が多い塗料です。光触媒塗料で外壁塗装を検討している人は、
施工実績があり親身に相談にのってくれる業者を選ぶことを心掛けてくださいね。
なお、関西にお住まいの方でしたら、外壁塗装の適正価格を知るためにペイントセレクトを利用してみてください。
数ある業者の中からあなたにピッタリの業者をみつけることができ、悪徳業者との契約リスクも避けることができます!